救命処置で家族をまもる
はじめに
家族に襲い掛かる突然のけがや病気。
救急隊が来るまでにできる限りのことをして、なんとしても救いたい。
が、その場に居合わせることができなければ誰かに救ってもらうしかありません。 あなたの家族はもちろん、誰かの大切な家族をまもる為に。
ここではそういった現場に居合わせた場合の処置の手順を紹介します。
心肺蘇生の手順
周囲の安全の確認
突然人が倒れたり、倒れている人を発見した場合は近づく前に周囲の安全を確認します。
道路上など危険な場所に傷病者がいる場合は二次災害が起こらないよう十分な注意が必要です。
状況によっては、自身の安全を確保できてから近づきます。
反応の確認
傷病者の耳元で「大丈夫ですか」「どうされましたか」等と大声で呼びかけながら肩をやさしくたたき反応を確認します。
反応が無い場合や判断がつかない場合は「誰かー!」「助けてください」等大声で助けを求めます。
☆呼びかけに対し
・目を開ける
・返答する
・目的のある動きが認められる
以上が無ければ「反応なし」と判断してください。
☆呼びかけの際、傷病者が突然起き上がることがあるので、ぶつからないように傷病者の側面から呼びかけてください。
☆反応があれば訴えを聴き、必要な手当等を行います。
協力者への依頼
協力者が駆け付けたら
「あなたは119番通報を行ってください。」
「あなたはAEDを持ってきてください。」 と個別に依頼してください。
☆119番通報 AEDの依頼をするときは必ず相手を見て、手で指し示しながら依頼してください。
☆協力者がいない場合はまず119番通報を行ってください。
電話をとおしてやるべきことを指示してくれます。
呼吸の確認
傷病者の横に座り、10秒以内で胸や腹部の上がり下がりをみて「普段通りの呼吸」をしているか判断します。
反応はないが普段通りの呼吸をしている場合は様子を見ながら救急隊の到着を待ちます。
☆以下は「普段通りの呼吸」ではありません。
・胸や腹部の動きがない。
・10秒程度確認しても呼吸状態がよくわからない。
・しゃくりあげるような、途切れ途切れの呼吸がある(死戦期呼吸)。
胸骨圧迫
傷病者に「普段通りの呼吸」がない、または判断がつかない場合は心停止と判断し、直ちに胸骨圧迫を開始します。
胸骨圧迫により全身に血液を送ることが期待できます。
○胸の左右真ん中にある胸骨の下半分を、重ねた両手で強く、速く、絶え間なく圧迫します。
・胸骨の下半分に、片方の手の付け根を置きます。
・もう片方の手をその手の上に重ねます。両手の指を組むと、より力が集中します。
・両肘をまっすぐ伸ばして、手の付け根の部分に体重をかけ、真上から垂直に傷病者の胸が約5㎝沈むまでしっかり圧迫します。
・1分間位100~120回のテンポで連続して絶え間なく圧迫します。
・力を抜くときはしっかりと抜き、胸が元の高さに戻るようにします。
・小児には、両手または体格に応じて片手で、胸の厚さの約3分の1が沈むまでしっかり圧迫します。
☆心肺蘇生を行っている間は、AEDの使用や人工呼吸を行うための時間以外は、胸骨圧迫を中断せず絶え間なく行ってください。
☆心肺蘇生を行うすべての時間の内、胸骨圧迫が占める時間を60パーセント以上にすることが望ましいとされています。
☆胸骨圧迫を行うテンポ(1分間に100回~120回)の目安とされるのが「サザエさんのオープニング曲」(おさかなくわえた・・・)や「アンパンマンマーチ」(そうだうれしいんだ・・・)等です。
人工呼吸
30回の胸骨圧迫が終わったら、すぐに気道確保し人工呼吸を行う。
気道確保
傷病者の喉の奥を広げることで空気を肺に通しやすくします。
片手を額に当て、もう片方の手の人差し指と中指の2本をあご先にあてて、頭を後ろにのけぞらせ顎先を上げます。
人工呼吸
気道を確保したまま、額にあてた手の親指と人差し指で傷病者の鼻をつまみます。
口を大きく開けて傷病者の口を覆い、空気が漏れないようにして息を約1秒かけて吹き込み、傷病者の胸が上がるのを確認します。
一度口を離して、同じ要領でもう一度行います。
☆息の吹き込みで傷病者の胸がしっかり上がらなくても吹き込みは2回までとし、胸骨圧迫を再開します。
☆人口呼吸にかける時間は10秒以内とし胸骨圧迫の時間をへらさないでください。
☆傷病者が顔面や口から出血している場合や、人工呼吸を行うことがためらわれる場合は人工呼吸を省略し、胸骨圧迫のみ続けてください。
心肺蘇生の継続
胸骨圧迫を30回行った後、人工呼吸を2回行ってください。
胸骨圧迫と人工呼吸の組み合わせを救急隊員と交替するまで絶え間なく続けてください。
人工呼吸ができない場合は胸骨圧迫のみ続けます。
☆胸骨圧迫は思いのほか疲れます。 疲労により胸骨圧迫の質の低下を招くおそれがあるので、協力者がいて交替できる場合は1~2分を目安に交替しましょう。
AEDの使い方
AEDの準備と装着
① 傷病者の近くに置く。
AEDを傷病者の近くに置きケースから取り出します。
② 電源を入れる
本体のふたを開け電源ボタンを押す。(ふたを開けると電源が入る機種もあります。)
③ 電極パッドを貼る。
傷病者の衣服を除いて胸をはだけます。
パッドの袋を開けて描いている場所にしっかりと貼り付けます。
機種によりパッドのケーブルを本体と接続する必要があるものがあります。
☆本体に書かれている成人用と小児用とは?
成人用→小学生以上
小児用→未就学児
☆パッドは肌との間に隙間ができないように貼り付けます。
アクセサリー等の上から貼らないように注意してください。
☆パッドを貼り付ける間もできる限り胸骨圧迫を継続してください。
心電図の解析
パッドを貼り付けると自動的に心電図の解析が始まります。
“体に触れないでください。”等、音声で指示があったら周りの人にも「離れて!」と声をかけ注意を促してください。
“ショックは不要です”という声があったら直ちに胸骨圧迫を再開してください。
電気ショック
電気ショックが必要と解析された場合“ショックが必要です”という音声と共に充電が始まります。
充電が完了すると“ショックボタンを押してください”と指示が出るので
「ショックを行います。離れて!」
と注意を促し、全員が傷病者から離れていることを確認してからショックボタンを押します。
☆ショック操作を行う場合は、自分自身も必ず傷病者から離れてください。
心肺蘇生の再開
電気ショックを行ったら、直ちに胸骨圧迫を再開してください。
AEDの使用と心肺蘇生の継続
胸骨圧迫を再開して2分ほど経つと再び、AEDが自動で心電図の解析を始めます。
音声指示に従って傷病者から離れ、周りの人にも離れてもらいます。
以後は心肺蘇生とAEDの使用を救急隊員と交替するまで繰り返します。
心肺蘇生を中止するとき
救急隊に引き継いだとき
救急隊が到着したら、傷病者の発見時の状況、おこなった手当、AEDでショックを行った回数等できるだけ詳しく引き継いでください。
傷病者の意識が回復したり「普段通りの呼吸」が戻ったとき
心肺蘇生は一旦中止し、AEDを装着したままで救急隊の到着を待ちます。
注記
傷病者の胸が濡れている
体が濡れているとショックによる十分な効果が得られません。
タオル等でふき取ってからパッドを貼ってください。 AED本体にレスキューセットとして布が入っている場合があるので確認してください。
ペースメーカーが植え込まれている
ペースメーカー等があると硬いコブのようなでっぱりがあります。
パッドを貼る位置に医療器具がある場合そこを避けてパッドを貼ります。
貼り薬が貼られている
ぜんそく薬、ニトログリセリン製剤等々、胸に貼る薬がある場合はそれをはがして肌に残った薬剤をふき取ってからパッドを貼ってください。
まとめ
傷病者を発見したら
・安全確認
・反応の確認 反応がなければ応援を呼び、119番通報、AED依頼
・呼吸の確認 呼吸がなければ、胸骨圧迫、人工呼吸
・AEDの使用
・胸骨圧迫・人工呼吸
・救急隊に引き継ぐ
上記一連の動きをスムーズに行う必要がありますが、普通は経験がないので難しいと思います。
マネキンを使った練習ができる講習を各地方の消防署等で行っています。
実際に自分が動いて、体で覚えるのが一番だと思いますので是非体験してみてください。
※民間でも講習を行っているようですね。こちらは費用がかかるようですが・・
最後に
AEDってすごい賢いですよね。 まぁ、つくった人が賢いんでしょうけど。
ぜひワンちゃん用のAEDの開発もよろしくお願いします!
すでにいろんな商業施設や駅なんかには設置されているAED。
一家に一台とはなかなかいかないと思いますが、規模にもよるんでしょうが、自分が働く職場には置いてもらったほうがいいんじゃないかと思いますよね。
皆さん会議で提案しちゃいましょう(笑っ
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